最近、お客様から当社が取り扱う集塵脱臭装置の集塵・脱臭の性能についてのご質問を受けましたので、レーザー加工時における排気装置の役割について記述いたします。
バーサレーザーのような箱型のレーザー加工機の場合、排気装置が非常に重要なファクターとなります。
どのような素材の場合でも、レーザーを照射すると溶融、蒸発、昇華など、加熱による物理的現象が生じ、それに伴って噴煙・粉じん・臭気などの副産物が生成されます。
箱型のレーザー加工機の場合、これらの副産物が加工スペース内に滞留すると、レーザー光を阻害したり、二次的に発生した可燃性ガス(主に石油を原料とするプラスチック製品)に着火するなどの原因になりかねません。
これらの副産物を強制的に外部へ排気するのが排気装置になります。
排気装置には、これら副産物を、そのまま外部へ排気する簡易型の送風機と、副産物をろ過する集塵脱臭装置の2種類に分けられます。
当然の如く、これら副産物をろ過する集塵脱臭装置の方が、環境に良いのは言うまでもありません。
しかし、イニシャルコスト等の問題もあり、一律に集塵脱臭装置の設置を強制できるものではありませんが、少なくとも都心部や建物の密集地、飲食店の近辺、住宅街でレーザー加工を行う場合は、集塵脱臭装置は必需品と言えます。
当社がエフェクト製集塵脱臭装置 DR-IS2を推薦する理由について
エフェクト製集塵脱臭装置DR-IS2(以下、DR)は、下記のように3層のフィルタ構造を持っています。
1次フィルタ ペーパーフィルタ(市販ティッシュペーパー代用可)
2次フィルタ 中性能フィルタ
3次フィルタ FM600精密フィルタ
脱臭用活性炭 (特殊活性炭HG)
フィルタが多層構造になっているのは、言うまでもなく、粗い物質から順にろ過していく必要があるためです。
DRは、一次側から二次側へ、徐々にフィルタの目を細かくしていくことによって効率的なろ過を行います。
また、各フィルタもとより、段ボールパッケージに封入された活性炭カートリッジなど、交換が容易です。
一般に、高性能(且つ、高額)な海外製の集塵脱臭装置は、確かに高機能なフィルタリング構造を持っていますが、いちばんのボトルネックは高額なランニングコストです。
ランニングコストの大勢を占めるのが、副産物をろ過するために使用する高価なフィルターです。
当然の如く、ランニングコストの上昇は、レーザーで製作する製品の単価にはねかえります。
とくに輸入品の集塵装置はフィルタ等のランニングコストが高価になりがちです。
DRは、交換頻度の高い一次フィルタに市販のティッシュペーパーを使用することによって、コストの上昇を抑えました。
国産品で、窒素酸化物やホルムアルデヒドなどの吸着性能に秀でたゼオライトの粉末をろ過材として使用するタイプの集塵脱臭装置もありますが、副産物と結合したゼオライトが一般ごみではなく、産業廃棄物扱いとなり取扱いが面倒なため、当社ではお勧めしていません。
また、ゼオライトの粉末は取り扱いが非常にシビアです。片栗粉並みの微粒子のため肺に吸い込み易いので健康被害に気をつけなければなりません。
ろ過フィルタについて
言うまでもなく、集塵装置にとって副産物をろ過するためのフィルタは、いちばん重要なパーツです。
フィルタは、詰まる=ろ過されているということになりますので、使用すれば詰まって当然という言い方もできます。
集塵しているのにフィルタが詰らない=吸引力が落ちない、ということであれば、それは集塵をしているとは言えません。
これは、バーサレーザー純正クリーナーの二次フィルタです。当然のようにHEPAフィルタを使っています。
こちらは、DRの二次フィルタです。純正クリーナーと同様に中性能フィルタを使用しています。
(中性能とHEPAでは、ろ過する粒子の粗さが異なります。)
このような構造のフィルタをご覧になられた方もいると思いますが、これらは、大手家電メーカーが作っている家庭用の空気清浄機にでさえ、必ずと言っていいほど付いている重要なフィルターです。
巷には、フィルタによる圧力損失を重視(吸気圧の確保)するあまり、ロールフィルタやグラスウールフィルタだけで集塵脱臭機能を謳って販売されている物も出回っていますが、本来のろ過機能を確保しているかどうかは定かではありません。
ろ過の構造
下図は、大手家電メーカーが作る一般的な空気清浄器のフィルター構造です。粗い粒子から、徐々にろ過を行い、最終端の吸気ファンで空気を排出する構造になっています。
こちらは、DR-IS2のフィルター構造です。上記の空気清浄器のように、フィルター構造を踏襲し、粗い粒子から徐々にろ過を行い、最終端の吸気ファンで空気を排出する構造になっています。
ファンが最後端にあるいちばん大きな理由は排気漏れ(リーク)を防ぐためです。
尚、巷には、こういったフィルタ構造を踏襲していない製品も出回っていますので十二分に注意する必要があります。
例)
そもそも脱臭機構を備えていなかった集塵装置に、脱臭という体裁を整えるために吸気ファンの後端に活性炭を加えた場合などです。
こういった構造の場合は、筺体のの接合部や排気ダクトの接合部から排気漏れが無いかどうかを確認することが大事です。
吸気の確保
レーザー加工中に、加工スペース内の吸気圧が下がると、ガスが滞留しレーザー光そのものを阻害してしまいますので吸気の確保は確かに重要です。
フィルタが目詰まりをすれば吸気圧が下がるのは至極当然のことで、吸気圧が下がった場合はフィルタを交換しなければなりません。
バーサレーザーの純正のエアクリーナーには、吸気圧を検知するための風量センサ(流量センサ)が搭載されており、マテリアルドライバ―モード(非マニュアルモード)の時には、流量が下がった時点でレーザー加工を停止する安全機能が搭載されていますので、とても安全にご利用いただけます。
ですが、ランニングコスト(フィルター代)が高価なため、当社ではDRをお勧めしています。
DRは吸気圧を目視で確認できるように、プレッシャーゲージ(圧力計)が搭載されています
吸気圧が充分に確保されているかどうかを、吸気口に手をかざして確認したり、加工スペース内の煙や粉じんの流れを目で見て確認することも大切ですが、やはり目に見えない吸気圧を数値で確認できるにこしたことはありません。
脱臭用活性炭について
活性炭は、簡単に言うと臭いの分子などを物理的に吸着する能力を持った多孔質の炭です。
ご存じ方もおられるかもしれませんが、活性炭は原材料や炭化・賦活の条件によって分子の吸着性質が異なります。 ゆえに、用途にあった性質の活性炭を使うことがとても重要になります。
一種類の活性炭で万能を謳うメーカーもあるようですが、いくら活性炭の量が多くても、本来は用途にあった活性炭を選ばなくては意味がありません。臭いの分子が活性炭に吸着されずに素通りしてしまうからです。
たとえば、アクリル製品を加工するのに木用の活性炭を使用しても脱臭効果が上がりません。
DRの場合は、
1.アクリル系
2.木・ゴム系
3.アンモニア系
という3種類の活性炭をご用意しています。
当社では、主にいちばん使用される材料に適した活性炭を積んで納品させていただいています。
安全機構
DRは、フィルターの目詰まりによって圧力損失が高くなり、ファンモーターに過負荷がかかった時に、モーターを停止させるための安全装置(サーマルプロテクタ)が取り付けられています。
言い換えれば、安全装置の無いファンモーターを筐体の中に入れて、フィルターと組み合わせているだけの集塵装置は、圧力損失が高まった時にモーターが過熱、焼けてしまうなど、トラブルの可能性があります。
本来、安全装置の無いファンモーターは、過負荷が想定される用途ではなく、送風等のために使用すべきものともいえます。
もっとも、筐体が隙間だらけで圧力損失が高くならなければモーターは過熱もしませんが、フィルタとしてのろ過機能を果たさないので集塵装置としての意味を成さないともいえます。
また、DRは、主電源の前に安全用ブレーカーを付けています。
過電流等による電気的なトラブルから回路を保護する安全設計になっています。
以上が、当社がエフェクト製集塵脱臭装置 DR-IS2を推薦する理由です。
詳細はレーザーワークスまで。
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