製造から12年が経過したユニバーサルレーザーシステムズ社製レーザーカッターのオーバーホールを依頼されました。このお客様は2度目のオーバーホールとなります。
12年も経つと、液晶TVも冷蔵庫も洗濯機も壊れてしまいますが、こうして整備をすることで長く使うことが出来るのは、業務用レーザーならではです。(と思っています)
本体の外装を取り外すと、もちろんそれなりに汚れています。外装の中にしっかりとしたフレーム構造が存在するのはユニバーサルレーザーシステムズの特徴です。安価に流通しているレーザーカッターは基本的にボックス構造の箱だけです。その箱に歪みが生じるとアライメントが狂い、修正は そこそこ困難だと思います。
VLSシリーズのフレームには高張力鋼板が使われています。安価な金属板は、曲げるとそのまま曲がりっぱなしですが、それらに比べると軽量かつ耐食性や強度に優れています。
レーザーヘッドの駆動部です。ここがスムーズに動かなければ加工精度が落ちてしまいます。
パーツを取り外し、ベルトとホイールを新品に交換します。
駆動系を分解している間に、カバー部の洗浄を行います。洗浄液をスプレーして汚れを溶かします。
汚れがみるみるうちに溶けだしてきました。
汚れが落ちて、ピカピカになります。
集光レンズユニットや反射ミラーにもスプレーします。こびりついた汚れが落ちていきます。
経年劣化でエアーアシスト用のパイピングチューブが硬化していますので、これを交換します。
エアーのパイピングチューブの交換は手間がかかります。プロッターアームを本体から取り外し、アームもバラバラに分解しなければなりません。
ヘッドの位置センサーのコネクタが劣化しているので、ついでに交換します。
VLSシリーズの昇降テーブルは4本のシャフトで行います。このシャフトのグリスアップ、テーブルのアライメントを調整します。
排気プレナムの清掃を行います。
アームを取り付ける前に細かいところまで清掃を行います。
整備が終わったX軸のアームを取りつけ、Y軸レールとのアライメントを調整します。
アライメント調整の後、本体背面にあるY軸モーターとシャフトのプーリー、ドライブギアの増し締めをしっかりと行います。
背面の電装部の清掃を行います。
全てのパーツを元に戻しました。
最後にレーザー光のアライメントを調整します。ユーザー様にはレッドポインターによる調整を行ってもらっていますが、こちらで行う場合は安全装置を解除して、レーザー光そのものを使って行います。ワークエリア内の4隅で、それぞれレーザーを照射し照射位置のズレが最小限になるように調整を行います。
レーザー光のアライメント調整が完了したら、レーザーのパワー測定、動作確認を行います。
ラスターデータとベクターデータのズレもありません。
最後に、丁寧に梱包をてお客様の元へ返送します。
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