久しぶりのブログの更新になってしまいましたが、今回はVLS2.30のオーバーホールレポートです。
今回は、通常のオーバーホールよりも手間をかけています。通常のオーバーホールは、4~5時間程度で終わりますが、今回は2日間かかっています。
これが、今回、オーバーするVLS2.30です。木工加工をされているので、いたるところが木の脂(ヤニ)で汚れています。汚れているというよりは、全体に脂(ヤニ)の膜が貼られている感じです。
サイドパネルを開けてみると、見事なくらいの木材の粉塵が積もっています。
当然の如く、反対側も同様に粉塵が溜まっています。
フォーカスキャリッジのトッププレート付近ですが、どうやら一度も掃除をしていない感じです。 こうなってくると、フォーカスキャリッジの左右の動きに支障をきたす可能性が出てきます。
通常は、X軸アームを筐体から外すことはないのですが、このレベルになると、このようにアームを取り外さなければなりません。
アームの裏側も、まるで粉塵でコーティングされているかの如しです。
早速、X軸アームから、レールブレースを取り外します。
レールブレースを取り外した後、エアチューブが格納されているエアーレールを外して分解・清掃を行います。
X軸のドライブモーターを外して清掃
コーナーミラーのホルダーを分解・清掃
エアーチューブが経年劣化により柔軟性がなくなっていたため新品に交換します。
Y軸レールの上を走行する、ベアリングの付いたモーションテンショナーを分解・清掃・グリスアップ
分解清掃後、モーションテンショナーをX軸レールに組み付けます。
ドライブモーターを元に戻します。
Y軸の反対側にあるベアリングAssyを元に戻します。X軸プーリーも分解清掃済みです。
エアーレールを清掃し、エアーチューブを配管していきます。
エアーレールをX軸レールに組み付け、清掃の済んだX軸センサー基板を元に戻します。
分解清掃の済んだコーナーミラーホルダーを組み付けます。
今回は、レールブレースの分解清掃を行います。
エアーチューブのガイドローラーに汚れがこびりついていますので、これをこそぎ落とします。本当なら新品に交換したいところです。
清掃が終わった後、ガイドローラーをグリスアップし、
レールブレースを元通りに組み立てていきます。
次に、フォーカスキャリッジ トッププレートを分解・清掃してきます。
トッププレート裏側
トッププレートの4つのベアリングは新品に交換しますが、ベアリングの固定ピンは清掃で対応します。
劣化の激しかったドライブベルトを新品に交換し、トッププレートをX軸レールに組み付けます。
フォーカスキャリッジも分解・清掃を行います。
清掃が終わったら、X軸レールに組み付けます。
トッププレートとフォーカスキャリッジを連結し、レールブレースをX軸レールに組み付けます。
これで、ようやくX軸アームの整備が完了です。
次は、筐体のメンテナンスを行います。 まずは、汚れがひどかった排気プレナムを清掃
木材の脂(ヤニ)の除去ですが、某ケミカル用品を使っています。このケミカルを使うと、付着したヤニがみるみる溶け落ちていきます。
テーブル昇降シャフト(全4箇所)も、汚れや粉塵を取り除いてグリスアップします。
筐体後部のY軸ドライブモーター近辺の清掃。駆動シャフト連結部のネジの緩み等をチェックします。
トップドアーです。通常は外さずに清掃しますが、今回は全て分解清掃します。
VLSシリーズは、トップドアーに耐火ガラス(安全対策)を標準装備していますので、重量のあるガラスドア開閉のためにガスシリンダーが付いています。このシリンダーも経年劣化でガスが抜けていきますので、新品に交換します。
ガラス製なので、アクリル製に比べて擦過等に強いので磨けばピカピカになります。(まるで何もないような透明感です)
清掃後、筐体にトップドアを組み付けます。
筐体の左右も溜まった粉塵を取り除いて、ケミカルを使って汚れを落とします。
昇降テーブルや、テーブル下の空間を清掃
筐体の底にあるテーブル昇降ベルトも清掃します。このベルトにゴミや粉塵が付着すると、ドライブギアとベルトの嵌合が悪くなり、ベルトが滑って空回りすることによって昇降テーブルの傾きの原因になったります。
X軸アームのアライメント調整を行います。
アライメント調整が終わったら、清掃の済んだアームカバーを取り付けます。
集光レンズや反射ミラーは消耗品なので、新品に交換します。細かい擦過傷や曇りがあると、レーザー加工のクオリティや性能に影響が出ることがあります。
今回は、ビームウィンドウも新品に交換します。
リチャージ済みのレーザーカートリッジを取り付けます。
カートリッジ取り付け後、規定のランニングテストを行い、レーザー出力を計測します。
ようやく完成です。
このVLS2.30は導入から7年以上が経過したマシンですが、このように手を加えてあげると新品同様の性能を取り戻すことが出来ます。
今回は、通常のオーバーホールプラン以上に手をかけていますが、通常のオーバーホールを3年に一度くらいのペースで行えば、長くお使いいただくことができます。
詳細はレーザーワークスまで
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