2018年6月5日

レーザーの消費電力、電気代について

初めてレーザーにお問い合わせをいただいた時に、よくご質問を受けるので、今回はレーザーの電気代について説明します。

当社のVLSシリーズ(10ワット~60ワット)のレーザーの定格は『110V / 10A』です。 これは、いわゆる"機器に流せる電気の上限値"です。これ以上の大きな電気は流してはいけない、ということです。

それから、電圧と電流の関係ですが、電圧が低いと大きな電流が流れて機器に負担がかかります。 定格電圧の許容範囲は±10%まで認められますので、日本の標準電圧100Vであれば機器も大丈夫なのですが、日本の場合、建物が古かったり、電圧が不安定な環境下だと100Vを下回ることもあります。

ということで、当社では110Vのレーザーを使う際には昇圧トランスを使って電圧を上げて、大きな電流が流れないように配慮しているわけです。

前置きはこれぐらいで、今回は、電流と消費電力を計測するためにクランプメーターとワットチェッカーを買いました。

それから、クランプメーターを使うために電源コネクターも自作しました。

まず最初に 30ワットレーザー単独でベクターカットのフルパワー100%の時の電流値を計測しました。ベクター加工はレーザーが常時出力されますので、ずっとこの数値で推移します。

こちらはラスター加工 フルパワー100%の時の電流値。ただし、ラスターはレーザーのオンオフを繰り返すので0.8A~5Aの間を行ったり来たりします。

ちなみに、こちらは集塵脱臭装置DR-IS2の電流値です。

実際には、レーザーと集じん装置を同時に使います。両方が稼働した状態で計測してみると、ほぼ10Aとなりました。

日本のコンセントは15Aですが、これにパソコンやコンプレッサーなどが加わりますので、同じ電源系統のコンセントで消費電力の大きな電子レンジや掃除機などを使うとブレーカーが落ちる・・・ということになります。

では次に、消費電力です。

まず、電源トランスの待機電力です。

次に、集塵脱臭装置DR-IS2ですが、この装置は大きなモーターが搭載されているのでスイッチを入れた瞬間に、一瞬だけ大きな突入電流が流れます。 1500ワットを超えたため、ワットチェッカーがアラームを発報してしまいました。

その後、すぐに通常モードに落ち着いて、約530ワットになりましたが、集じん装置や排気ブロワーの起動時は大きな突入電流が流れますので、装置を起動する順番には気をつける必要があります。 レーザー加工をスタートした直後に、集じん装置のスイッチを入れ忘れていて、 慌てて集じん装置のスイッチを入れると機器の破損につながります。 レーザー加工を行う場合は、最初に集じん装置を起動して、モーターの回転が安定した後に、レーザー加工をスタートする必要があります。

次は、レーザーの待機電力です。レーザー加工をスタートする前の電源がONになっているだけの状態です。

次は、30ワットレーザー単独でベクターカットのフルパワー100%の時の消費電力です。概ね600ワットです。

最後に、レーザーと集じん装置を同時に動かした場合の消費電力です。 概ね1000ワットとなりました。

ということで、肝心の電気代ですが、電力量料金単価を22円/kwh(主要電力会社10社平均)として換算すると、ほぼ1000ワットですので、1時間あたり22円ということになります。もっとも、これはフルパワーでレーザーを連続で使った場合ですが。

例えば、1日に8時間をフルに動かしたとしても、22円 x 8時間 x 22日(1ヵ月)= 電気代 3,872円となります。

実際には、材料を入れ替えたり、データーを作成したりなどの時間を取られますので、一般的な使い方だと せいぜい1ヶ月あたり2,000円にも届かないくらいではないでしょうか?

詳細はレーザーワークスまで